
「開業したいけど、これまでの貯金だけで開業できるわけないよね・・・?」
その通り!それだけで開業できることはものすごくレアケースです。
勤務時代やその前から頑張って貯金した資金だけで開業した先生は、これまで10年以上開業支援や物療機器のご提案などで私が関わらせていただいた先生方の中で2人だけです。
心配しないでください。
「開業資金が足りない…」 「内装工事も、物療機器も意外と費用がかさんでしまいそう」
多くの開業希望者が直面する開業資金のお悩みや不安に対して、最も力強い味方となってくれるのが「日本政策金融公庫」(以下、公庫)です。
しかし、公庫はただ申し込めば融資を受けられるわけではありません。
審査担当者は、先生が提出する書類や面談を通して、「どのような事業を目指しているのか」「計画に実現性はあるのか」「無理なく返済できる見込みがあるのか」といった点が総合的に厳しく評価し確認されます。
単なる申し込み書類の書き方だけでなく、公庫の担当者がどんな視点で先生の申込内容を確認しているのか、融資を「勝ち取る」ための5つの重要ポイントを徹底的に解説します。
なぜ、最初の融資は「日本政策金融公庫」が最強なのか?
なぜ多くの開業コンサルタントや税理士が最初の融資先に「公庫」を推奨するのか。
その理由は明確です。
- 新規創業者に積極的: 実績のない新規事業者への融資は、民間の銀行は及び腰になりがちです。対して公庫は「新たなビジネスの創出」を支援することが国の役割であるため、開業前でも積極的に相談に乗ってくれます。
- 低金利で固定金利: 民間に比べて金利が低く、返済計画が立てやすい「固定金利」が基本です。
- 無担保・無保証人が基本: 「新創業融資制度」などを利用すれば、原則として担保や保証人なしで融資を受けられます。
- 「社会的信用」の獲得: 公庫の審査に通ったという事実は、「国が事業の可能性を認めた」というお墨付きになります。これは将来、民間の銀行から追加融資を受ける際にも有利に働きます。
融資審査を「勝ち取る」ための5つの重要ポイント

融資審査の結果の9割は、提出する「創業計画書」の内容と、それを補足する「面談」で決まります。
担当者が「どこを見ているのか」を知り、的確にアピールしましょう。
ポイント1:「経営者の略歴」― あなたが“何者”であるかの証明
担当者が最も恐れるのは「貸した相手が事業を投げ出すこと」です。
履歴書のようにただ職歴を並べるのではなく、「これまでの経験が、今度の開業にどう役立つか」をストーリーで語ってください。
- 分院長として管理職を経験した(マネジメント能力)
- 月間〇〇人の集客を担当した(集客・マーケティング能力)
- 特定の技術を習得し、指名客が〇〇人いた(技術力・顧客満足度)
「なぜ今、開業するのか」という動機と実績を結びつけ、経営者としての資質を証明しましょう。
ポイント2:「取扱商品・サービス」― あなたの“強み”の宣言
「保険施術と自費施術をやります」だけでは不十分です。
競合ひしめくエリアで生き残れる「独自の強み(USP)」を明確に示します。
- ターゲット(ペルソナ): 「産後の骨盤の歪みに悩む30代女性」など具体的に。
- 解決策(ソリューション): その悩みをどう解決するのか。
「産後の骨盤の歪みに悩む30代女性」をターゲットにするのであれば、骨盤矯正だけでなく、育児による肩こりや腰痛、筋力低下へのアプローチも求められるかもしれません。
このようなターゲットの悩みを整理したうえで、どのような施術を提供するかを設計していきます。
差別化の方法は手技だけではありません。専門特化した施術メニューの構築や予約システムの充実、院内環境の整備など様々です。
その中の一つとして、物理療法機器を活用した施術体制を構築するケースもあります。
(▶︎ 差別化の鍵!ペルソナ・USP設定の詳細は以下の記事で確認できます)
ポイント3:「事業の見通し」― 数字の“裏付け”となる物語
売上計画は「これくらいの売上があったらいいな・・・」の「希望的観測」であってはいけません。
また、無理やりに数字だけをあわせた計画ももちろんNG です。
担当者がじっくりと確認するのは、その売上計画の数字をどうやって導き出したか「計算の根拠」です。
【売上計画の計算根拠(例)】
- 客単価: 5,000円
- 設備: ベッド3床
- 回転数: 1時間あたり1.5人 × 8時間 = 最大36人可能
- 稼働率設定: 開業当初は40%と堅実に設定
- 1日予測: 36人 × 40% = 約14人
- 月間売上: 5,000円 × 14人 × 25日 = 1,750,000円
このように、「なぜその売上が立つのか」を分解して説明できることが重要です。
ポイント4:「自己資金」― 事業への“本気度”の証
自己資金は、先生の「信用」そのものです。
親からの贈与などで急に増えたお金よりも、「開業のために数年前から毎月コツコツ貯めてきた通帳の履歴」が最強のアピールになります。
一般的に、開業資金総額の1/3(少なくとも1/10)は自己資金で用意する必要があります。
「計画的に準備ができる人物である」ことを通帳で証明してください。
ポイント5:「面談」― “人柄”と“熱意”を伝える最終プレゼン
面談は、書類審査の答え合わせであり、先生の「人となり」を見る場です。
創業計画書に書いた内容は、すべて自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
「外部のコンサルタントに書いてもらったから分からない」は即アウトです。
礼儀正しく、自信を持って、自分の言葉で熱意を伝えることが、担当者の心を動かします。
【裏ワザ】審査担当者を安心させる「パートナー」の存在
開業後の運営体制も事業計画の一部
融資審査では、「開業後にどのような体制で院を運営していくのか」という視点も見られます。
特に接骨院では、療養費請求業務の正確性や事務作業の効率化が経営の安定につながります。
そのため、開業前の段階から請求代行サービスや業界団体のサポートを活用する計画を立てておくことは、運営リスクを減らす取り組みとして説明しやすくなります。
私たちが開業支援を行うなかでも、JBA(日本柔整鍼灸協会)をはじめとした各種サポート体制を活用しながら、施術に集中できる環境づくりを検討される先生は少なくありません。
個人の力だけでなく、強力なバックオフィス機能を持つ組織と連携して運営するという事実は、金融機関に対して「経営の安定性」をアピールする材料になります。
まとめ:融資審査とは、事業の未来を伝えるプレゼンテーション


公庫の融資審査とは、単にお金を借りる手続きではありません。
先生が描く「事業の未来図」を、論理と情熱をもって伝えるプレゼンテーションです。
ここまで記事でを読み進めたせんせいにとっては、公庫に提出する創業計画書の作成も、事前の融資面談も問題なく準備できます。
解説した5つのポイントを押さえれば、公庫の担当者は敵ではなく、先生の夢を応援するパートナーになってくれるはずです。
開業準備でお困りの方へ
私たちは東海・北陸エリアを中心に、接骨院・整骨院の開業支援を行っています。
創業計画書の作成はもちろん、
- 資金計画
- 融資相談
- 物件選定
- 医療機器導入
- レセプト運営体制の構築
まで含めてサポートしています。
その中で実際に使用している創業計画書の記入例や作成チェックリストを資料としてまとめました。
これから開業準備を進める先生は、参考資料としてご活用ください。
松本 俊和
接骨院・鍼灸院 開業支援アドバイザー
これまでに関わってきた接骨院の新規開業は200件以上。
成功事例だけでなく失敗事例も数多く経験し、「成功する接骨院づくり」のために先生一人ひとりの状況に合わせた具体的なアドバイスを行っています。
物件選定・事業計画・資金計画・集客戦略・療養費請求体制の構築・物療機器の導入支援まで、開業に関するご相談はお任せください。
これまでの経験と現場で培った知見をもとに、先生が後悔のない開業を実現できるよう、成功する接骨院づくりのお役に立つ情報を発信してまいります。開業に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
物件選定・資金計画・集客戦略・物療機器導入など、開業に関するご相談を承っています。
