新規開業を準備する先生が、最初につまずく大きな間違いがあります。
「スポーツのケガはもちろん、地域に密着した接骨院をつくりたい」
「学生のケガも、社会人の不調も、高齢者のお悩みもすべて解決したい」
実際に開業支援のご相談をいただく際、このようなイメージを最初にお話しされる先生は非常に多くいらっしゃいます。
もちろん、「幅広い患者さんの力になりたい」という想いそのものは素晴らしいことです。
しかし、開業直後の接骨院経営という視点で考えると、この考え方は
大きな落とし穴にはまる危険性が高い考え方
なぜなら、患者さんは「何でも対応できる院」を探しているのではありません。
「自分の悩みを解決してくれそうな院」
を探しているからです。
💡 本記事でわかること
- なぜ「誰でも来てください」が危険なのか
- ターゲット設定で失敗する接骨院の共通点
- 開業前に決めておくべきターゲットの考え方
- 集客・コンセプト設計との関係性
それでは、「接骨院のターゲット設定で失敗する3つの理由」を見ていきましょう。
-
「誰でも来てください」の接骨院開業が集客できない3つの理由
- 患者から見て「何が得意な院なのか」が分からない
- 広告・ホームページのメッセージが弱くなる
- 結果的に価格競争へ巻き込まれる
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接骨院開業で絶対にやってはいけない3つのターゲット設定の罠
- 「属性」だけでターゲットを決めてしまう
- 自分のやりたい施術から考えてしまう
- ターゲットで止まりペルソナまで落とし込めていない
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ターゲットを絞る=患者を捨てることではありません
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【実例】開業準備の中身が変化する
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まとめ|ターゲット設定の目的は「ペルソナ」を明確にすること
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よくある質問(FAQ)
「誰でも来てください」の接骨院開業が集客できない3つの理由
開業準備中の先生ほど、
「まずは地域の皆さまに来てもらいたい」
「学生から高齢者まで幅広く対応したい」
と考えがちです。
しかし実際には、その考え方が集客を難しくしてしまうケースが少なくありません。
特に接骨院は患者さんが「悩み解決」を目的に院を探す業態です。
そのため、「誰でも歓迎します!」は一見良さそうに見えて、結果的に誰にも選ばれない状態を生み出してしまいます。
ここでは、その理由を3つ解説します。
理由① 患者から見て「何が得意な院なのか」が分からない
多くの先生は、
肩こりも腰痛も
スポーツ障害も交通事故も
学生も高齢者も対応します
と幅広さをアピールします。
実際に開業相談を受けていると、「肩も腰もスポーツも学生も高齢者も全部やりたいです」
という先生は少なくありません。
ただ、そのあと「じゃあホームページの一番上に何を書きます?」
と聞くと止まってしまうんです。それでは誰の?なんのための院づくりなのかが全く分から無くなってしまします。
しかも患者さんは接骨院を探しているわけではありません。
- 腰痛を改善して趣味のゴルフをもっと楽しみたい
- 足首の捻挫を早く回復させて、早く部活に復帰したい。
- ひどい首の痛みから解放された日常生活を送りたい
患者さんそれぞれの目的を達成するための手段として接骨院を探しています。
なんでもお任せください!なんでもできます」は「結局、この院は何が得意なの?」
という印象になります。
だからこそ、「誰でも歓迎」は優しそうに見えて、
実際には「誰にも刺さらないメッセージ」になってしまうのです。
また、塩ラーメン専門店やチャーハン専門店が記憶になりやすいように、接骨院も
「〇〇ならこの院」
という印象を持ってもらうことが重要です。
「何でも診ます」は差別化ではなく、むしろ埋もれてしまう原因になります。
これは接骨院だけの話ではありません。
実際に整形外科やクリニックの新規開業でも、「○○ひざのクリニック」「○○せぼね病院」といった院名で専門性を打ち出しているケースがあります。
もちろん、実際には膝や脊椎だけしか診療していないわけではありません。肩の痛みや腰痛、関節痛など幅広い症状に対応しています。
それでも専門性を前面に出しているのは、患者さんに「何が得意な医療機関なのか」を分かりやすく伝えるためです。
患者さんは医療機関の診療範囲を比較して選んでいるわけではありません。自分の悩みを解決してくれそうかどうかで選んでいます。
だからこそ、「幅広く診られること」と「幅広く見せること」は別問題です。
集客に成功している医療機関ほど、実際には幅広く対応しながらも、患者さんには明確な強みや専門性を伝えています。
理由② 広告・ホームページのメッセージが弱くなる
接骨院の集客には広告規制があります。
自由に強い表現を使えるわけではありません。
開院準備の限られた情報の中で「誰のどんな悩みを解決する院なのか」を伝える必要があります。
しかしターゲットが曖昧だと、ホームページのキャッチコピーも、チラシも、Googleビジネスプロフィールも、すべてがぼやけます。
例えば、
【地域密着で皆さまの健康をサポートします】
という表現は間違いではありません。しかし、ほとんどの接骨院が同じことを言っています。
一方で、
【部活動でケガをした学生の競技復帰をサポート】
【毎朝感じる腰痛の不安を相談し解消できる接骨院】
であれば、必要としている人には強く届きます。
ターゲットが明確になるほど、メッセージも明確になります。逆にターゲットが曖昧な院ほど、発信内容も曖昧になってしまうのです。
理由③ 結果的に価格競争へ巻き込まれる
最も避けたいのがこの状態です。
特徴が伝わらない院は、患者さんから見ると「どこも同じ」に見えます。
すると比較されるポイントは、
- 料金
- 通いやすさ
- 営業時間
などになります。
開業初期は実績も口コミも少ないため、特徴がない院ほど価格で比較されやすくなります。
つまり、施術の価値ではなく価格で比較されるようになります。
一方で、
スポーツ障害に強い
交通事故対応に特化
産後ケアが得意
など明確な特徴があれば、患者さんは価格だけで判断しなくなります。
「この悩みならこの院」という理由が生まれるからです。
価格競争を避けたいなら、値下げではなく、まずは選ばれる理由を作ることが重要です。
集客できない原因は広告やホームページではなく、「誰に来てほしいか」が曖昧なことにあります。
接骨院の集客で大切なのは、対応できる症状を増やすことではありません。
まずは、「誰のどんな悩みを解決する院なのか」を明確にすることです。
患者さんは接骨院を探しているのではなく、自分の悩みを解決する方法を探しています。
だからこそ、「誰でも来てください」ではなく、「この悩みなら任せてください」というメッセージが、開業初期の集客成功につながるのです。
では、ターゲットは絞れば絞るほど良いのでしょうか。実はそう単純ではありません。
接骨院経営では「市場」「競合」「自分の強み」の3つを踏まえてターゲットを決める必要があります。
実際のターゲット設計では、商圏分析や競合分析, 自院の強みの整理も必要になります。詳しい進め方は無料相談やワークブックで解説しています。
ターゲット設計が大事なんでしょ?
と理解したところで、多くの先生が失敗するターゲット設定について次はお伝えします
接骨院開業で絶対にやってはいけない3つのターゲット設定の罠
罠① 「属性」だけでターゲットを決めてしまう
ターゲット設定の相談を受けると、
「30代女性をターゲットにしたいです」
「学生をメインにした院づくりを目指して集客したいです」
というお話をよく伺います。
一見するとターゲットが明確になっているように見えますが、実はこれだけでは不十分です。
なぜなら、年齢や性別といった属性だけでは、その人が本当に抱えている悩みが見えてこないからです。
「30代女性をターゲットにしたい」でも、中身は全くの反対といっていいほどに異なります。
- デスクワークによる慢性的な肩こりや腰痛に悩んでいる人
- 小さな子どもを育てながら腱鞘炎や腰痛を抱えている人
- 自営業で長時間立ち仕事をしている人
では、それぞれ抱えている、解決したいお悩みは全く異なります。
同じように「学生をメインにした院づくり」と一口に言っても
「スポーツのケガを抱えている学生」なのか
「スマホの過剰使用による姿勢不良の学生」なのかによって、中身は大きく変わってきます。
患者さんは「接骨院」を探しているのではありません。「自分の悩みを解決してくれそうな場所」を探しています。
ターゲット設定では属性だけを見るのではなく、その人が抱えている悩みや生活背景まで考えることが重要です。
罠② 自分のやりたい施術から考えてしまう
開業準備中の先生ほど、
「骨格矯正をメインにしたい」
「スポーツ外傷を診たい」
「今までの勤務先で使用していた最新の物療機器を導入したい」
という発想になりがちです。
もちろん、自分の得意分野や強みを活かすことは大切です。しかし、ターゲット設定の出発点を施術にしてしまうと失敗する可能性が高くなります。
なぜなら、患者さんは施術を受けたいのではなく、悩みを解決したいからです。
- 「長年の腰痛でゴルフが楽しめなくなった現状を何とかしたい」
- 「寝違えのひどい痛みで運転に支障があって、子供の送り迎えに問題がある」
- 「大会に向けてスポーツのケガを早く治し、レギュラーとして活躍したい」
という悩みを抱えています。
施術内容はあくまでも患者さんが抱えている課題を解決する為の手段の1つです。
ターゲット設定を考えるときは、『自分が何をやりたいか』ではなく、『誰のどんな悩みを解決したいか』から考えるようにしましょう。
この考え方は施術内容だけでなく、テナント物件の選び方や物療機器の選定などにも共通する考え方です。
罠③ ターゲットで止まりペルソナまで落とし込めていない
最も多く、そして最もやりがちな失敗が「ペルソナまで落とし込めていない」ことです。
多くの先生は、「40代女性」「子育て世代」「デスクワーカー」といったターゲット設定を行った段階で満足してしまいます。
しかし、それだけでは集客戦略やコンセプト設計に活かすことができません。
例えば、「40代女性」というターゲットだけでは、
- 何時に来院できるのか
- 何にお感を払うのか
- どんな言葉に反応するのか
が分かりません。
しかし、「42歳の事務職で慢性腰痛に悩み、小学生の子どもが2人いる女性」まで具体化すると、
- 平日夜の受付が必要
- 駐車場が重要
- 「腰痛改善」より「家事や育児を楽にしたい」に反応する
といった判断ができるようになります。
つまり、ターゲットは分類であり、ペルソナは経営判断の基準です。
ターゲット設定の本当の目的は、患者層を分類することではありません。その先にいる『たった一人の患者像』を明確にすることです。
そして、その患者像こそがペルソナです。
ターゲットを絞る=患者を捨てることではありません
ターゲットを決めると「その人以外は診ないのですか?」と質問されることがあります。
しかし実際は違います。患者さんに伝える入口を決めるだけです。
整形外科やクリニックでも「ひざ専門」「脊椎専門」と打ち出していても、実際には幅広い症状に対応しています。
接骨院も同じです。
【集客の入口を絞ることと、診療の幅を狭めることは全く別 】と理解してください。
ターゲット設定とは、施術の範囲を狭めることではなく、患者さんに選ばれる理由を明確にすることです。
【実例】開業準備の中身が変化する
ターゲット設定の重要性を理解しても、「本当に絞った方が患者さんは増えるのだろうか?」と不安に感じる先生も多いと思います。
そこで、よくあるケースを元に実例をご紹介します。
Before|「地域密着で何でも診る接骨院」を目指していた
開業準備を始めるにあたって、この先生の最初のイメージでは
- 肩の痛み
- 腰の痛み
- 膝や足首の痛み
- スポーツ障害
- 交通事故
- 骨盤矯正
など、とにかく幅広く対応できることをアピールしていました。
開業準備のワークシートにも
「地域の皆さまの健康をサポートします」
「学生から高齢者まで幅広く対応」
といった表現を掲載していました。
しかし、話を進める中で問題が発生します。
「駐車場が2台くらいしかとれない駅前の物件ならありそうだけど・・・」
「30坪ある田んぼの真ん中の店舗が空きそうなんだけど・・・」
様々な物件情報をネット検索して見つけていましたが、誰に来てほしいのかが曖昧なため、
- どんな立地が良いのか
- どのくらいの駐車場が必要なのか
- 何時まで受付すべきなのか
- どの施術メニューを軸にするのか
といった重要な判断ができなかったのです。
転機|「誰でも来てください」のターゲット設定をやめた
しかしながら、何回かのセッションを重ね、物件探しがなかなか理想通りに進まなかったこともあり、多くの実例のご紹介から幅広くターゲットを設定することをやめ、絞り込んでいきました。
そこで改めて、「本当に来てほしい患者さんは誰なのか」を整理した結果
「慢性的な腰痛に悩む社会人」
「子育てが一段落した女性」
いずれかをメインのターゲットとしました。
さらに、
仕事帰りに通院したい会社員
車移動が中心の生活スタイル
長年の腰痛を改善したい
という具体的なペルソナまで落とし込みました。
After|ターゲットが決まると開業準備が一気に進んだ
すると、それまで曖昧だった判断基準が明確になりました。
例えば物件選びでは、駅前の小型テナントではなく、駐車場を確保できるロードサイド物件の方が適していることが分かりました。
営業時間についても、平日夜の受付を重視する方向性が見えてきました。
また、導入する物療機器や施術メニューについても、「誰のために導入するのか」という基準で判断できるようになりました。
結果として、理想の物件も見つかり、開業準備全体がスムーズに進むようになったのです。
ターゲット設定とは集客のためだけに行うものではありません。接骨院経営全体の設計図を作るための作業です。
まとめ|ターゲット設定の目的は「ペルソナ」を明確にすること
接骨院の開業準備において、多くの先生が陥るのが「幅広く対応できる院を作りたい」という考え方です。
もちろん、実際に幅広い症状へ対応できる技術や知識を持つことは大切です。
しかし、患者さんから選ばれるためには「何でもできます」ではなく、「この悩みなら相談してみよう」と思ってもらうことが重要です。
今回お伝えしたように、ターゲット設定で失敗する先生には共通点があります。
- 年齢や性別などの属性だけで考えてしまう
- 自分のやりたい施術から考えてしまう
- ターゲットで止まり、ペルソナまで落とし込めていない
これらの問題の根本原因は、患者像が曖昧なまま開業準備を進めてしまうことにあります。
ターゲット設定は単なる集客テクニックではありません。
ホームページの内容、立地選定、施術メニュー、価格設定、営業時間、導入する設備など、接骨院経営全体の設計図を作るための重要な工程です。
精度高い院経営の設計図を完成させるために必要なのが「ペルソナ設計」です。
ターゲットは患者層の分類ですが、ペルソナは経営判断の基準になります。
誰のどんな悩みを解決するのか。どんな未来を提供するのか。
ここが明確になって初めて、患者さんに選ばれる接骨院づくりが始まります。
次のステップでは、そのペルソナに対して「なぜ他院ではなく、あなたの院を選ぶべきなのか」を明確にする必要があります。その考え方がUSP(独自の強み)です。
ターゲットとペルソナが決まったら、次は「選ばれる理由」を言語化していきましょう。
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接骨院開業に関するよくある質問(FAQ)
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松本 俊和
接骨院・鍼灸院 開業支援アドバイザー
これまでに関わってきた接骨院の新規開業は200件以上。
成功事例だけでなく失敗事例も数多く経験し、「成功する接骨院づくり」のために先生一人ひとりの状況に合わせた具体的なアドバイスを行っています。
物件選定・事業計画・資金計画・集客戦略・療養費請求体制の構築・物療機器の導入支援まで、開業に関するご相談はお任せください。
これまでの経験と現場で培った知見をもとに、先生が後悔のない開業を実現できるよう、成功する接骨院づくりのお役に立つ情報を発信してまいります。開業に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
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