
先生の熱い想いと素晴らしい技術。それを待っている未来の患者様は、必ずいます。
しかし、その想いを届けるためには、「然るべき場所」で旗を揚げる必要があります。
(▶︎ STEP1:ビジョンとコンセプト設計の記事はこちら)

開業準備のSTEP 1で固めた「ビジョン」という名の種をどこに蒔くのか。
それが、このSTEP 2「市場・商圏・環境分析」です。
特に、一度決めたら後戻りできない「立地選定」は、その戦略の根幹を成します。
直感や「家から近いから」といった理由だけで、一生を左右するかもしれない開業場所を決めてしまうのは、あまりにも危険な賭けです。
そのため、この記事では、大きな視点から小さな視点へ、つまり「森を見て、木を見て、枝葉を見る」という順序で、先生の成功確率を最大化する「勝てる場所」を見つけ出すための、3ステップ分析法を徹底解説します。

なぜ、場所選びがこれほど重要なのか?
開業における最大の投資は、多くの場合「場所」に関わる費用(物件取得費、内装工事費、家賃)です。そして、この場所選びは、一度決めたら簡単には変えられません。
- ニーズのない場所に出せば、どんなに良い施術をしても患者様は来ません。
- 競合が強すぎる場所では、開業初期に熾烈な価格競争や広告合戦に巻き込まれます。
- 人の流れが悪い場所では、そもそも院の存在に気づいてもらえません。
つまり、立地選定とは「開業後の集客のしやすさを、開業前に決定づける最重要戦略」なのです。
感覚だけに頼らず、客観的なデータに基づいた分析を行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
- STEP 1:マクロな視点で「業界環境」を理解する
- STEP 2:ミクロな視点で「市場分析」を行う(エリア選定)
- STEP 3:ピンポイントで「商圏分析」を行う(物件選定)
- まとめ:論理的な分析が、成功への最短ルート
STEP 1:マクロな視点で「業界環境」を理解する
まず最初に、私たちが戦う市場全体の「今の環境」を正しく認識しましょう。地域の分析に入る前に、柔道整復師業界全体が直面している大きな流れを理解することは、長期的な経営戦略を立てる上で不可欠です。
1. 施術所数の増加と競争の激化
厚生労働省の統計を見ても分かる通り、柔道整復師の施術所数は年々増加傾向にあり、市場は飽和状態に近づいています。これは、どの地域で開業するにせよ、厳しい競争環境にあるという事実を直視する必要があることを意味します。
もはや、単に保険が使えるというだけでは生き残れません。
明確なコンセプトと、他の院にはない独自の強み(USP)を持つことが、これまで以上に重要になっています。
2. 療養費の動向と「極端な院運営モデル」のリスク
業界全体の療養費(保険請求額)の総額は、施術所数の増加ほどには伸びておらず、近年は横ばいから微減傾向にあります。これは、保険請求に対する審査が年々厳格化していることが大きな要因です。
この事実は、売上の大部分を保険施術のみに依存する経営モデルのリスクが高まっていることを示唆しています。かといって、最初から高額な自費施術を中心とした院づくりを進めると、接骨院の強みである「地域密着型」のビジネスモデルと乖離しかねません。

医療保険に関する基礎資料~令和3年度の医療費等の状況~(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/iryouhoken/database/zenpan/kiso.html


令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/index.html
今後の安定経営に求められるのは、両極端を避けるバランス感覚です。
我々ハートアンドハートでは、【療養費施術の収益に依存するのではなく、それを地域からの信頼を得るための「土台」と位置づけ、多様化する患者ニーズに応える「自費施術」と組み合わせることで、安定的かつ永続的な院の成長を目指す接骨院経営モデル】をハイブリッド型の院運営と定義して推奨しています。
この、これからの接骨院経営の羅針盤となる『ハイブリッド型運営モデル』について、その本質と具体的な考え方を、以下の関連記事で詳しく解説しています。エリア選定と並行して、ぜひご一読ください。
STEP 2:ミクロな視点で「市場分析」を行う(エリア選定)
業界全体の厳しい環境を理解した上で、次に行うのが「では、どのエリアで戦うべきか?」という具体的な市場分析です。ここからは少し骨の折れる作業ですが、一つひとつ丁寧に進めれば、必ず勝機は見えてきます。
ここでは、開業を検討している市区町村や沿線といった単位で、その市場が魅力的かどうかをデータに基づいて判断します。
1. 人口動態分析 ―「誰が」そこに住んでいるのか?
その地域に「どんな人が、どれくらい住んでいるのか」を把握します。これは、先生の得意な施術と地域のニーズをマッチさせるための基本情報です。
- チェック項目:
- 総人口と世帯数: 市場の基本的な大きさを把握します。
- 年齢構成: 高齢者が多いのか、ファミリー層が多いのか。それにより、求められる施術内容が大きく変わります。
- 昼間人口と夜間人口: 「ビジネス街」と「住宅街」では、ターゲットも最適な営業時間も全く異なります。
- 調べ方: e-Stat(政府統計の総合窓口)や、開業したい市区町村の役所のウェブサイトで、国勢調査などの統計データが無料で公開されています。
2. 競合分析 ―「ライバル」はどんな相手か?
市場内のライバル(他の接骨院・整骨院、整体院、整形外科など)を調査します。これは、STEP 1で描いた先生の理想の治療院(コンセプト)が、その市場で通用するのかを見極めるための重要な作業です。

チェック項目:
- 専門性・強み: 各院のウェブサイトを徹底的に読み込み、「先生の専門性が際立つ『空白地帯』はあるか?」という視点で評価します。(例:「産後骨盤矯正に特化した院はあるか?」「スポーツ外傷に強いことを謳っているか?」など)
- 受付時間・休診日: 先生が理想とする患者様(ペルソナ)の生活スタイルを基に、「既存の院が見逃しているニーズはないか?」と考えます。
- 評判・口コミ: Googleマップなどで、患者様の不満の声(例:「待ち時間が長い」)を探し、その不満点は「先生が自身のコンセプトで解決できる課題か?」を考えます
3. 患者ニーズ分析 ―「どんな悩み」が眠っているか?
人口動態と競合分析で見えてきた市場の可能性の中から、先生の「想い」と最も強く共鳴するニーズは何かを探し出します。
完璧な答えを最初から見つける必要はありません。まずは仮説を立ててみましょう。
重要なのは、全てのニーズに応えようとしないこと。
先生のコンセプトに合致するニーズを選択し、そこに経営資源を集中させるという優先順位付けが、成功の鍵を握ります。
分析項目が多すぎて、何から手をつければいいか分からない…
市場分析は、成功の鍵を握る重要なプロセスですが、非常に手間と時間がかかります。 株式会社ハートアンドハートでは、分析すべき項目を網羅し、記入していくだけで調査が完了する「接骨院・整骨院のための立地選定・市場分析チェックシート」を無料でプレゼントしています。
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STEP 3:ピンポイントで「商圏分析」を行う(物件選定)
有望な市場(エリア)を見つけたら、いよいよ最終段階、ピンポイントでの商圏分析です。これは、具体的な物件の周辺が、実際に集客しやすいかどうかを「足」で確かめる作業です。
1. 交通アクセスと「生活導線」
駅からの距離はもちろん、それ以上に重要なのが「生活導線」、つまり地域住民が日常生活で自然と通る道筋です。スーパーやドラッグストア、学校などの近くは、自然と人の目に触れるため、強力な立地と言えます。
2. 視認性と入りやすさ
「視認性」、つまり、院がそこにあると発見しやすいかどうかは、集客に直結します 。曜日や時間を変えて、人通りの変化を実際に観察することが大切です 。
【現地調査チェックリスト例】
- □ ターゲット層(ペルソナ)は実際にその道を通行しているか?
- □ ベビーカーや車椅子でもスムーズに入れるか?(入口の段差、幅など)
- □ 院の前に自転車を停めるスペースは確保できそうか?
- □ 夜間の街灯は十分か?女性が一人で歩いても安心感があるか?
- □ 隣接する店舗の雰囲気は、自院のコンセプトと合っているか?
まとめ:論理的な分析が、成功への最短ルート
素晴らしいビジョンも、それを実現する「場所」がなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。
- 業界環境を把握し、心構えと大局的な戦略を持つ。
- 市場分析で、勝てる可能性のあるエリアを見つけ出す。
- 商圏分析で、そのエリア内の最高の物件を絞り込む。
この「森→木→枝葉」の順で分析を行うことで、開業という「賭け」は、成功確率の高い「投資」に変わります。分析が完了し、勝てる場所の目星がついたら、いよいよ「STEP 3:事業計画」で、その場所で成功するための具体的な数字の計画を立てていきましょう。
→ 【STEP 3:事業計画】の記事へのリンク
場所選びは、先生がこれから何十年も地域の人々の健康を支えていく、その舞台を選ぶ大切な作業です。専門的な分析や物件の良し悪しの判断には、多くの経験と知識が必要です。候補地選びでお悩みなら、ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。

