
この記事は、全12ステップで開業準備を解説するメインシリーズの『STEP2:市場・環境分析』でご紹介した、これからの接骨院経営における最重要戦略『ハイブリッド型運営モデル』について、より深く掘り下げて解説する特別編です。
まだSTEP2の記事をお読みでない方は、そちらを先にご覧いただくと、なぜこの経営モデルが必要なのか、その背景からご理解いただけます。
「保険だけでも、自費だけでもない」 これからの接骨院経営において、永続的な成長を遂げるために不可欠な考え方、それが「ハイブリッド型の院運営モデル」です。
この記事では、多くの成功院が実践するこの経営モデルの本質、そして自院に取り入れるための具体的な考え方を徹底的に解説します。
【ハイブリッド型運営モデルとは?】
我々ハートアンドハートでは、「保険施術(療養費)の収益に依存する」のではなく、それを地域からの信頼を得るための「土台」と位置づけます。
決して「保険施術をやめ、自費施術のみでの運営が優位性が高い」という意味ではありません。
多様化する患者ニーズに応えるための「自費施術」と組み合わせることで
【安定的かつ永続的な院の成長を目指す接骨院経営モデル】をハイブリッド型の院運営と定義して推奨しています。
療養費施術と自費施術、それぞれに明確な戦略的役割を持たせることで、安定的かつ永続的な成長を目指す接骨院の経営モデルです。
- 療養費施術(保険)= 地域からの「信頼」を獲得するための土台
- 自費施術=多様化するニーズに応え、院の「成長」を牽引するエンジン
なぜ今、「ハイブリッド型」なのか?従来の保険依存モデルの限界
かつて多くの接骨院では、療養費施術(保険施術)を収益の柱として経営が成り立っていました。
しかし、時代は大きく変化し、そのビジネスモデルは多くの課題に直面しています。
- 療養費改定による収益の不安定化
療養費の単価は改定のたびに変動し、ここに収益の全てを依存することは、経営の不安定化に直結します。 - 審査の厳格化
レセプトの審査は年々厳格化しており、事務的な負担や返戻のリスクは増大する傾向にあります。 - 患者ニーズの多様化
ライフスタイルの変化に伴い、患者様の悩みは「急なケガ」の処置だけでなく、保険の枠内では対応しきれない領域へと大きく広がっています。
- 慢性的な肩こりや腰痛の根本改善
- スポーツにおけるパフォーマンスの向上
- 健康維持や予防のための定期的なメンテナンス
- 姿勢改善や産後骨盤矯正といった美容に関するニーズ
- 競合環境の激化
接骨院・整骨院だけでなく、整体院、リラクゼーションサロンなど、地域における競合は多様化し、増え続けています。
このような環境下で、従来の「保険依存型モデル」だけを続けていくことは、先の見えない荒波の中に小さな船で漕ぎ出すようなもの。未来を見据えた、新しい航海術が求められています。
ハイブリッド型運営を支える「2つの柱」
ハイブリッド型運営とは、単に保険と自費を両方行うことではありません。それぞれに明確な「役割」を与え、戦略的に組み合わせる考え方がその中核となります。
第1の柱:療養費施術 =「信頼の土台」
ハイブリッドモデルにおいて、療養費施術は収益源であると同時に、地域社会からの圧倒的な信頼を獲得するための「土台」です。
国家資格者だからこそ可能な、骨折・脱臼・捻挫といった急性外傷への的確な処置は、他のサービスにはない高い専門性です。
この専門性を最大限に発揮することで、院は地域にとって「いざという時に頼れる場所」という、かけがえのない存在となります。
- 役割: 専門性を発揮し、地域住民の健康を支えるインフラとなること。
- 目的: 院の評判とブランドを確立し、新規患者様が来院する最初の「入口」としての機能を最大化すること。
この「信頼」という無形の資産が、次に説明する第2の柱を強力に支えます。
第2の柱:自費施術 =「成長のエンジン」
自費施術は、多様化する患者様のニーズに応え、院の成長を力強く牽引する「エンジン」の役割を担います。
療養費施術という土台の上で築いた信頼関係があるからこそ、患者様は「実は長年、こんな悩みもあって…」と、保険適用外の相談をしてくれます。
その悩みに応える自費施術は、療養費改定の影響を受けない安定的な収益源となると同時に、患者様の生活の質(QOL)を大きく向上させる価値を提供できるのです。
- 役割: 多様なニーズに応え、収益を安定・向上させること。
- 目的: 患者様一人ひとりと長期的な関係を築き、生涯にわたる「健康パートナー」となること。
ハイブリッド型が生み出す「理想の好循環」
この2つの柱がうまく機能し始めると、院内には次のような好循環が生まれます。
- 来院(信頼の入口) 評判を聞き、足首を捻挫した学生が来院します。(療養費施術)
- 信頼関係の構築 数回の通院でケガは快方へ。丁寧な説明と的確な施術に、学生と保護者は先生へ絶大な信頼を寄せます。
- 潜在ニーズの発見 会話の中で、その学生が「試合前にいつも腰が重くなる」という慢性的な悩みを抱えていることを知ります。
- 価値の提案(自費への接続) 信頼関係を基に、「ケガの再発予防とパフォーマンス向上のために、体の使い方から見直すコンディショニングもできるよ」と自費メニューを提案します。
- ファン化と紹介 自費施術で長年の悩みが解消された学生は、院の熱烈なファンになります。そして今度はチームメイトに「あそこの先生は、ケガも体のケアもすごい」と紹介してくれます。

このように、「信頼の土台」が新しいニーズを掘り起こし、「成長のエンジン」がその期待に応えてさらに信頼を深める。このサイクルこそが、ハイブリッド型運営の持つ最大の強みです。
まとめ:未来を創る経営モデルへ
ハイブリッド型の院運営モデルとは、保険施術をおろそかにするのではなく、むしろ国家資格者としての原点である「信頼」を最も大切にする経営思想です。
その揺るぎない土台の上に、時代のニーズに応える自費施術というエンジンを搭載することで、先生の院は価格競争に巻き込まれることなく、地域で選ばれ続ける、安定的かつ永続的な成長軌道に乗ることができるのです。
あなたの院の「ハイブリッドモデル」を具体化しませんか?
この記事で解説した「ハイブリッド型運営モデル」の重要性をご理解いただけたでしょうか。 しかし、最も重要なのは、このモデルを先生ご自身のコンセプトや地域特性に合わせて具体的に設計することです。


